コミックマーケット64アフターレポート

会場
東京国際展示場東京ビッグサイト)全館

会期
2003年 8月15日(金)〜17日(月)

サークル数
参加サークル数3万6千
申込サークル数5万2千

入場者数
15日(金)15万人
16日(土)15万人
17日(日)16万人

更衣室登録数
 男性女性
15日(金) 8504,760
16日(土) 9004,900
17日(日) 9002,400

コミケット公式発行物

マスコミ取材
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 コミケット64は例年の夏より少し遅めの8月第三週の金、土、日にかけておこなわれたため、 従来の花火大会の日程とは重ならずに済んだ。 また、ちょうど第二週目の金、土は台風が日本列島を襲ったこともあって、 結果的にはよかったといえるのかもしれない。 だが、設営日を含めて四日間とも雨という過酷な天候は、コミケット始まって以来の悪天候であり、 スタッフの疲労、健康状態はかなり厳しかった。 それはもちろんサークル参加者、一般参加者にとっても同様だったことは言うまでもない。
 道路工事の進展にともない、北一、北二駐車場が従来の形で使用できるのは、 この夏までということもあって、コミケットでは従来の待機列、入場導線を使った方法で行われたが、 鉄鋼団地脇道路が狭くなっていたり、工事用の資材や残土が残っていたりと、 使い勝手は随分と悪くなっていた。 北一駐車場の閉鎖を予定に入れた、都の直通臨時バス(北一駐車場乗りつけ)最後の運行など、 今回のコミケットで終わることも多く、 次回に向けたシステム変更に対する実験なども取り入れて当日を迎えることになった。
 大きな問題を抱えてはいなかったが、2ちゃんねるの脅迫めいた書き込み、 都の公園緑地課から使わせないという脅しも含めた強硬な要請のあったイーストプロムナードの屋台営業の排除、 エントランスプラザ近くで営業を行っているファミリーマートとの調整の不調(ほとんどの要請をつっぱねられた)など、 相変わらず細かな問題は山積みだった。 同時に、警察や消防署の異動による担当者の変化、東京ビッグサイト民営化によるシステムの細かな変更など、 これまで慣例的に行われてきたことについても、様々な変化が訪れた。 これは決してコミケットだけのことではないのだろうが、 全体的に2003年は変化の年であるという印象を受けることになった。
 しかし、こうした細かな問題は、四日間雨という状況によるシフト変更によって、 余り目立たない事柄になってしまったようだ。本には、雨は大敵である。 搬入の時点から、既に気をつけなければならない状況が生まれていた。 屋外での作業を館内や屋根のある場所に極力移して行うことでしのぐ形になった。 また、入場導線の変更はなかったものの、出来るだけ一般を早く会場に入れるための前倒し入場、 傘や雨具をしまうための一時停止などを実施した。床の水吸いマットの設置やモップ掃除を含めて、 できるだけ床が滑らないような手間が必要であった。 搬入口を開けっぱなしで列を流していた館内の混雑対応も、 シャッターを閉鎖した状況で行わなければならなかった。
 宅配便の受け取り場所の館内への移動、そして東地区ではガレリアを使う形での宅配受付けを三日間行うことになった。 一日目のヤマト便の受付終了がかなりおそくなったこと、ガレリアの両端が混雑したことなど、 従来とは異なった面もあったが、予定されていた範囲内でギリギリ収まったといえるだろう。 屋外も含めて、使用できる空間全てに展開することでなんとかやってきたコミケットだが、 屋外のものを屋内に入れるにしても限界がある。 「雨シフト」としてシミュレーションを行った計画は話し合われていたにしても、 参加者まで周知されているとはいえず、多少の混乱があったようだ。
 雨、雪、台風の場合などにおける変更点の説明。 またやむなく中止せざるををえなくなった時の対応まで含めて、 細かなマニュアルとその周知の必要性を改めて考えていく必要があるといえるだろう。 準備会だけでなく、参加者の準備、協力も含めて、アピールなどに項目を付け加えていかなければならないだろう。
 夏コミと言うことで、暑さ対策を中心に色々と準備が進められていたこともあって、 飲み物消費の大幅な減少、ヒヤロンなどの未使用に代わって、 タオルや毛布などの当日購入など全く考えていなかった事態も発生した。 いくら冷夏、雨の予報とはいえ、夏に向けてホカロンや暖かい飲物を用意することは難しい。 従来、救護室使用の中心である熱射病、日射病は全く出ず、 カゼや下痢などが中心だったことを含め、冬コミに必要とされるものが使用された夏コミだったのだ。
 傘を使用していることもあって、列は1.5倍ほどに伸びた。 一日あたりの一般参加者の数字が昨年の夏とほとんど変わらないことを電光カウンターは示していた。 屋外にあまり人が出ていかないこともあって、 館内にはまんべんなく人が入り、サークルも売れ行き的には良かったという報告も入ってきている。 最もトラブルが多かったのは、サークル入場導線の迂回と解りにくさだった。 次回、このあたりの問題点は解決を考えなければならない。 雨で濡れた状態で会場に入って来るため、湿度が上昇はしていたが、 いつになく涼しかったこともあって、体力の消耗は少なかったという話もある。 雨の中の三日間頑張ったスタッフ、警備員を含めて、業務は大変だったし、 全日やってきた参加者も疲れただろと思うが、ギリギリ何とかなった夏コミだったというしかない。
 とにかく、夏コミは終わったのだ。
 だが、準備会は、駐車場の一般参加者待機場所の変更、抱えている細かな問題解決に向けて、 既に冬コミの準備に入り始めている。 会場周辺の変化に伴うシステム変更は、これから回ごとに行われていくことになるだろう。 しかも、工事の進行予定は三ヶ月前にならないとはっきりしない。 カタログ、アピールなどでお知らせしていく変更点については、よく読んで参加してもらいたい。 しばらくは、落ち着かない状況が想定されるからである。 ──コミケットは、相変わらず人が多すぎることが問題になっているイベントなのである。
(文責:米沢嘉博)

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