コミックマーケット69アフターレポート

会場
東京国際展示場東京ビッグサイト)全館

会期
2005年12月29日(木)〜30日(金)

サークル数
参加サークル数2万3千
申込サークル数4万6千


入場者数
29日(木)16万人
30日(金)19万人


更衣室登録数
 男性女性
29日(木) 8385,024
30日(金)1,0254,000


献血数
29日(木)192人
30日(金)214人


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マスコミ取材
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 12月の半ば頃より、各地で例年より早い記録的な大雪となり、流通・集配などの遅れ、停電などの印刷所のトラブルといった報が入り、同人誌界にはちょっとした混乱が起こっていました。コミケット当日に雪が降ったらどうしようというのが、準備会の一番の懸念だったと言えるでしょう。一昨年の冬のコミケット67では、1日目に雪が降り、結構大変だったという記憶は、まだ新しいものでした。また、終了翌日の12月31日には都下に大雪が降り、首都高速は閉鎖され、交通は大混乱しました。雪が降り積ったビッグサイトを見て、一日ずれていたら大変なことになっていたと思ったものです。
 幸いなことに、設営日を含めた3日間とも晴天に恵まれた今回の冬コミ。夜の冷え込みは仕方ないことであったにしても、昼間は日差しもあって、冬のコミケットにしては、過ごし易い3日間でした。そのためか、開場時間中の屋外には人が出て、のんびりしていたりする姿も見受けられました。心なしかいつもより、参加者の疲れが少ないように見えました。夏が暑く冬が寒いのは仕方ないにしても、ここ7〜8年、今イチ天候に恵まれなかったコミケット。スタッフもサークルも一般も疲労することが多かったのですが、天候一つで、大きく雰囲気が変わってしまうことを改めて実感しました。
 29・30日の2日間共、大きなトラブルは起きなかったようです。もちろん、細かなトラブルは様々な場所、様々な時間に次々と起こっていきます。エスカレータが停まった、搬入物が届いていない、机が壊れている、気分の悪い人が出た……、まあ、それは想定内のトラブルです。落とし物も相変わらず山のように出ます。記録しておくべきトラブルとしては、1日目閉会後の西のエレベータが途中で停まって、スタッフが閉じこめられたり、施設の一部が壊れていたりといった出来事がありました。東京ビッグサイトも十年を越え、会場の老朽化という問題が表面化してきたようです。また、一般参加者からの理不尽なクレームも1〜2件ありました。夜中には「オタク狩り」を狙った脅迫グループ(三人組)が、カツアゲを行おうとしたという報告も入っています。
 今回よりスタートした参加者の傷害保険ですが、幸いなことに適用されるようなケガや事故は起きませんでした。06年夏コミより始められることになる「オンライン申込」への質問もそれほどなかったようですし、落とし物の一斉返却の場所を東地区から西のアトリウムに移すといった変更点についても、トラブルは起きなかったようです。おおむね問題もなく、平穏に終わった冬コミだったようです。警察や消防からの指摘も特になく、懸念されていた癌研病院と導線のバッティングも起きず、クレームもあがっていません。
 そんな中、今回の冬コミで一番頭を悩ませたのが、東京テレポートセンターからの「要請」でした。コミケットでは一般参加者の列を並べるイーストプロムナードを数年前からお金を払って借りています。以前は立ち入り許可を貰って、列を作っていたのですが、都港湾局公園緑地課の担当が変わった時点で、借用へと変わり、一部を待機列のために専有しています。この港湾局から、現場の管理を委託されているのが第三セクターである東京テレポートセンターです。05年の夏から、事業部の方針が変わり、それまで専用駐車場として借りていたA駐車場(ワシントンホテル前)を、通年一般営業するので、コミケット専有にはできないということになりました。夏のコミケット68に仮設トイレ、救護BOXなどの位置が大きく変ったのは、このためです。今回もここは一般駐車場として営業されたのですが、警備員の数が充分でなく、当日は交通渋滞を起こすという問題が起きました。
 今回の冬のコミケットでは、12月も半ばを過ぎて、急にイーストプロムナードをもっと借りるよう要請がありました。さらに、使用できないと言われていたG1区画(TFT横の空地)を空いたから借りて列を作るよう計画変更が求められ、仮設トイレを芝の所に新たに二ヶ所作れという要請がありました。導線計画については当局と相談の上策定し、アピール、カタログは既に出ており、拡大準備集会での打合せも既に済んだ時点での、突然の要請でした。直前の変更は、スタッフにも参加者にも告知されていないので安全上難しいと説明したのですが、それなら使用許可を見直すといったニュアンスだったこともあって、急遽借りて計画を変更することになりました。カタログの図にはないところに仮設トイレがあったのは、こういう理由からです。
 また、当日の朝も事業部担当者から、現場に様々な要請が出されました。借りていないところに列がある、列が線をはみ出している、八列ではなく、十六列にするように、TFTの敷地内を人が通っている等々。コミケットの導線計画は結構複雑です。それを当日現場で変更するというのは危険なことです。さらには、コミケット参加者に対して、都民のための場所に来てもらっては困る旨の発言もあったと聞いています。かなり強硬な指導だったということもあって、二日目は、東京テレポートセンターの指摘に沿うように導線計画を大きく変更しました。その結果、無理な形での列形成、列移動などもあって、危険を感じた瞬間もあったと聞いています。何ヶ月もかかって計画したものを一日で変えるのですから、かなり無理があったことは否めません。一般参加者の人たちには迷惑をおかけすることにもなりましたし、当日の準備会スタッフも大変でした。主にイーストプロムナードからつどい橋にかけての入場待機列での、2日目の告知なしの導線変更にはこういった理由があったことを御理解願いたいと思います。
 この東京テレポートセンターは、06年4月より都の公園管理の指定管理者として、新たに業務をスタートさせることになっています。システムも変わっていく可能性が高いようです。ただ、これは、コミケット参加者の列と公園という問題だけではなく、コンベンションセンターとしてのビッグサイトと周辺の問題でもあるはずです。開場前に多くの人が訪れてしまうコミケットにおいて、列の待機場所は必要不可欠です。これから長くビッグサイトでコミケットを開いていくためには、こうした問題は解決されていかなければなりません。また、趣味の集まりであるコミケットですが、こうした現況の中から、様々な問題を考えさせてくれることになります。行政だけでなく第3セクターの在り方も、こうした視点から今一度考えてみると、見えてくるものがあるのかもしれません。夏コミまでに解決できるかどうか微妙な問題ではありますが、コミケットが安定した開催を行っていくためには、一つ一つ解決していく必要があるでしょう。−−とりあえずは、ここまでを冬のアフターレポートとしたいと思います。
(文責:米沢嘉博)

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