コミックマーケット88アフターレポート

会場
東京国際展示場東京ビッグサイト)全館

会期
2015年8月14日(金)〜16日(日)

サークル数
参加サークル数3万5千
申込サークル数4万6千


入場者数
14日(金)18万人
15日(土)16万人
16日(日)21万人


更衣室登録数
 男性女性
14日(金)2,3335,103
15日(土)2,1305,914
16日(日)2,2294,954


コミケット公式発行物


出展企業数


マスコミ取材
 コミックマーケット88取材申込一覧

(2015年8月21日データ部分公開)


 「3月にコミケットスペシャルを開いたこともあって、夏のコミックマーケット68の準備は4月に入ってからスタートしました……」というのは、10年前のコミックマーケット68 アフターレポートの書き出しです。このコミケット88も似たようなもので、もちろんサークルや企業ブースの受付やそれに付随した事務処理など、スペシャルと並行して作業を進めたことも少なくはなかったのですが、準備のエンジンがかかったのは、結局コミケットスペシャル6終了後からでした。5年に1度ですと人は以前のことを忘れがちになりますし、年2回の開催サイクルに体が慣れてしまっているところも正直あります。

 そんなこの夏でしたが、毎回直前にやきもきさせられる天候は、幸いにも酷暑が前の週で終わってくれたこともあり、昨年に続き今年も大事とはならず、準備会スタッフ一同胸をなで下ろすことができました。もちろんこれは、天候に恵まれたこともさることながら、参加者の皆さんの入念な準備があっての結果と思います。年ごとに多少の差はあれ、夏・冬の気候が厳しい時期にコミケットが開かれることに変わりは無いわけで、今年の冬も来年も十分な備えをしていただければと思います。
 そして、来場者は1日目18万人、2日目16万人、3日目21万人、のべ55万人。この7〜8年、夏は概ねのべ55万人前後で推移しています。巡回されていた消防の方からは「押さないし、群がらない、おとなしいですね」というコメントがありました。これも皆さんが熱き想いを胸に抱きながらも、落ち着いた行動を取っていただけているからこそだと思います。

 とはいえ、既にお知らせしましたが、1日目西の屋外展示場において、ニトロプラスさんの企業ブースの販売待機列対応において準備会スタッフの誘導ミスがあり、列が崩れてしまうという事態が発生しました。行列に並んでいた参加者の皆さん並びにニトロプラスさんに改めてお詫び申し上げます。2日目以降は対策を取り、再発防止を図りましたが、今後についても十分に注意を払って計画と当日運営を行っていきます。
 次に、サークル参加者にいくつかの残念なトラブルがありました。まず、出展サークル専用通行証のネットオークションへの出品についてですが、出品の事実が判明したため確認の問い合わせを2つのサークルに対して行ったのですが、こちらからの再三の連絡にもいずれのサークルからも回答がなかったため、以後のコミックマーケットへの参加を一切ご遠慮する旨の告知を開催前に公式サイトにて行いました。
 また、開催当日における頒布物確認において、複数のサークルが重大な不正行為を行っていたことが発覚しました。ご存じの通り、頒布物確認の結果、その表現が法律に触れるおそれがあると準備会が判断するようなものについては、当該頒布物の頒布を一時停止し、修正が可能なものについては、必要に応じて修正をしなければ頒布をお認めしておりませんし、修正ができないものについては、その頒布物の頒布を中止していただいています。しかし、今回の不正行為については、故意・悪意を持って準備会の確認を逃れようとしたと言わざるを得ないもので、即時すべての頒布物の頒布をやめていただくとともに、コミケット88当日及び今後のコミックマーケットへの参加をお断りすることをサークルにその場で通告し、そのまま帰ってもらいました。頒布のための列ができているサークルもありましたが、上記の状況に鑑み、行列は解散させていただきました。
 準備会といたしましては、こうした対応をサークルに対して取ることは極めて異例かつ非常に不本意ではありますが、コミケットアピールや通行証の券面に記載された最低限のルールを悪意に基づいて破る方を、参加者として受け入れることが困難である、という判断の結果です。ご理解いただけると幸いです。

 当日のサークルの傾向としては、1日目は、ゲーム系、芸能系、評論・情報等。1月のサービスインから垂直にブームが立ち上がったのは『刀剣乱舞』。4月新番組と違って夏の申込に間に合ったこともあって、少なくないサークル参加がありました。東123地区の艦これ、東456地区の東方Projectという形での2大ジャンルの強さも相変わらずです。2日目は、ジャンプ系、アニメ系、マンガFC系他ですが、去年から今年にかけては大きな動きもなかったこともあり、目立った変化はありませんでした。3日目は男性向やギャルゲー、創作(少年・少女)、同人ソフト、デジタル(その他)等の配置。混雑度は相変わらず3日間通じて最も激しいものがありました。

 企業ブースに目を向けてみると、inゼリー(森永製菓)や、カンロ、ステッドラー、楽天アプリ市場、ルミネエスト、などの新規出展が目立ちつつも、いつも通りの賑わいでした。特にinゼリーさんは、“HOW TO SURVIVE COMIC MARKET”と題したコミケット参加における独自ハウツー動画を開催直前にネット公開し大きな話題となりました。そして、西4階は混雑対策が以前から重要な課題となっているわけですが、近年継続して行っている遠回りをお願いしての導線が効果を発揮しており、概ね安全管理や通路確保等はできている状況です。出展申込も多く、相変わらずサークルよりも企業の当選率が低い状況が続いていますが、新しいコミケットの「参加者」を企業でも可能な限り受け入れて、仲間を増やしていきたいと思っています。
 また、昨夏に続き大塚製薬さんからポカリスエット・OS-1を、また、森永製菓さんからはinゼリーを、準備会スタッフ・救護向けとしてご提供いただきました。改めて御礼申し上げます。

 コスプレは、前々回より設置された有明西ふ頭公園も定着し、登録者数は3日間でのべ2万2千人を超えました。この数は夏としては過去最高を記録しています。各コスプレエリアの混雑状況を見ると、元からのコスプレエリアである屋上展示場や屋外展示場、更衣室の近い庭園やエントランスプラザは混雑していますが、更衣室から遠いこともあってか東トラックヤードはスペースにまだ余裕があります。ゆっくりコスプレを楽しみたい方は、次回以降東にも足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

 その他今回の企画としては以下の5つがありました。まず、「コミケ88」と80年代前半の大ヒットマンガ「エリア88」に因んで、カタログの表紙に新谷かおるさんをお願いしたことです。以前サークル参加していらした十数年前の古い証文を持ち出しての準備会のお願いに快く応えていたことに大変感謝しておりますし、我々だけでなく多くの参加者の皆さんも一緒に盛り上がって楽しんでくださり、たまにはこんな遊びもよかったのではないかと思っております。
 次に、春のコミケットスペシャル6から発行を延期した『コミックマーケット40周年史 40th COMIC MARKET CHRONICLE』が無事発売となりました。事前の予想を越えて、初日に夏コミ販売予定分が完売する結果となり、急遽夜に追加の在庫を搬入しましたが、それも3日目までにすべて完売しました。これを受けてこの10月には再版を行いました。現在コミケットサービスで通販を行っているほか、冬のコミケット89でも販売しますので、まだ入手していない方は是非手に入れていただき、40年の歴史を感じていただけたら幸いです。
 また、1日目夕方にTPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム(thinkTPPIP)さんと共同で、トークイベント「TPPの著作権条項を考える 〜非親告罪化、保護期間延長、そして法定賠償金〜」を開催しました。赤松健さん、荻野稔さん、香月啓佑さん、中川隆太郎さんともに、準備会からは作家でもある松智洋が参加し、短い時間ではありましたが活発な意見交換が行われました。
 そして、2日目に「鈴木心写真館」を行いました。コミケット87、コミケットスペシャル6と継続して行ってきた企画ですが、継続して実施したいという鈴木心さんからの希望があり、また参加者からも好評を得ていることもあり、今夏も引き続いての実施となりました。会場が西1ホール商談室7という少々わかりにくい場所だったのですが、一般参加者、サークル参加者、準備会スタッフ等多数の参加がありました。
 最後に、昨冬に引き続き隣接の東京臨海広域防災公園において、「第二回有明防災フェア」を一般社団法人DSCさんとの共催で行いました。今回はビッグサイトに近い都立公園側も使用したので、東456地区から展示車両などを目視することができたことに加えて、普段なかなか見ることのできない特殊車両の展示などもあり、前回から倍増以上の来場者を記録しました。ご協力いただいた団体の皆さん、ありがとうございました。

 当日来場した取材については、表面的な取り上げ方で終わる方がもはや珍しく、各メディアがそれぞれの問題意識や興味から掘り下げてコミケに焦点を当てる、という近年のトレンドが継続しています。また、一般企業の企業出展に伴って、今まで少なかった業界紙の取材なども増えています。これだけを見ると、ある意味ではコミケットが一般化してきている、と言えるのかもしれません。一方で開催に当たり、準備会は、マスコミや出展企業、その他関連する諸団体との打ち合わせを数多く行っていますが、近年は相手方の担当者などで「コミケに行っています」や、「実はずっとサークル参加していまして」「今もコスプレしに行っています」等々、個人でコミケ経験を持った方が、仕事としてコミケに関連を持つようになった、ということがかなり増えてきている印象があります。つまり、一般企業の出展が増えたり、マスコミの取り上げ方が詳しくなったりしているのは、コミケットが一般化しただけでなく、世の中のどこにでもオタクがいて、年齢を重ねて企画に対する権限を持つようなったことも影響しているのではないかと思ってもいます。

 コミケの40年の歴史というのは、イベントとしての成長の歴史だけではなく、参加者の成長の歴史でもある、ということを改めて感じる節目の年の開催なのでした。
(2015年11月24日本文公開)

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[Since: Aug 21 2015] [Last updated: Nov 24 2015]