コミックマーケット100アフターレポート


会場
東京国際展示場東京ビッグサイト
全館

会期
2022年8月13日(土)〜14日(日)

サークル数
参加サークル数 2万


入場者数
13日(土) 85,000人
14日(日) 85,000人


更衣室登録数
 男性女性
13日(土)597人1,515人
14日(日)552人1,695人


コミケット公式発行物
コミックマーケット100カタログ冊子版 表紙:武内崇 彩色・仕上げ:こやまひろかず 背景:ゆうろ ロゴ:WINFANWORKS
紙袋(大)Dr.モロー デザイン:木緒なち


出展企業数
108社


マスコミ取材
 コミックマーケット100取材申込一覧

(2022年8月23日データ部分公開)


 コミックマーケット96の閉会(2019年8月12日)から1,097日……。ようやく夏の有明に戻ってくることができました。この間コロナ禍と東京オリンピック・パラリンピック大会があり、3年ぶりの夏となりましたが、記念すべきコミックマーケット100を開催することができました。アフターレポートの最初に、全ての参加者・関係者の皆さんのご協力に改めて感謝いたします。

 C100では、C99での感染症対策に基づく受付・検温場所として利用した、G1街区が売却されてしまったため、代替地として南3ホールを利用することとなりました。この影響により、西・南展示棟4階の残りの3ホールは西・南用の待機列形成場所として利用し、サークルが東1〜6ホールと西1・2ホール、企業ブースが南1・2ホールとし、コスプレ更衣室が会議棟と東8ホールとなりました。東7ホールは前回通り東側の受付・検温場所として利用しているため、東京ビッグサイト全16ホール中5ホールは(一部はコスプレエリアとして利用したものの)、サークルや企業ブース用には活用できない状況が続いています(詳しくは、『コミックマーケット100とサークル申込について』参照)。


 また、C99では発行を見合わせた冊子カタログも復活、同人出身のクリエイターである武内崇さんに表紙をお願いし、100回記念に花を添えていただきました。とはいえ、開催中止リスクを考えると発行部数を絞らざるを得なかったこともあり、各書店・専門店や当日の準備会販売ブースでかなり早い段階で売り切れとなってしまい、購入できなかった方々には申し訳なく思っています。様々な都合から従来の薄い紙が使えず、2日間開催にもかかわらず3日間開催と変わらぬ厚さと重さとなってしまった冊子カタログですが、久々に手に取ると「コミケだなあ」という実感を、皆さんも感じたのではないでしょうか。今後も発行を継続していきます。

 C99で実施した「ワクチン・検査パッケージ」ですが、2022年1月に国としての制度が停止になったことに合わせ、C100ではこれを行いませんでしたが、感染症対策ガイドラインに従い、来場者数の管理と連絡先の取得、検温は引き続き実施しました。併せて一般参加者については、感染症対策の一環として来場者数に制約を設ける必要から、チケットの抽選販売を行ったことを踏まえ、転売対策として入場時のチケット記載氏名と本人確認書類との一致確認を必要に応じて行いました。このため、チケット購入時に本人でない名前(ペンネームやハンドルネームの方も居たようです…)で申し込んだ方の中では、入場をお断りせざるを得なかったケースもありました。今後も購入時にはご注意をお願いします。
 入場チケットについては、C99同様にアーリーチケットの制度は残しつつ、来場できる人を増やすための対策として、開会後の受付枠や午後チケットの追加等、様々な施策や見直しを行いました。これにより、C99の1日辺りの総来場者数5万5千人に対して、C100では8万5千人に大きく増やすことができ、会場内は往時には及ばないまでも、かなりの活況となったのではないでしょうか。受付枠を時間指定制としていることで、深夜来場はC99同様に、それ以前から比べると「ほぼいなくなった」が過言ではないほどの減少となっており、いわゆる「始発ダッシュ」も非常に落ち着いた状況だったようです。チケットの導入については、先ほどの連絡先取得と来場者数管理を主たる目的としているわけですが、今後どのようにしていくか引き続き情勢も見つつ検討を続けていきたいと考えています。

   ところで、C100における「最も迷惑な来場者(!?)」は、台風8号だったかもしれません。設営日から強風となり、設営・搬入に本来使用する予定だったホールのシャッターを一部開けられなかったことから始まり、1日目開場直後から、風に加えて豪雨となり、特に東駐車場で待機されていた方は大変だったかと思います。加えて、混雑サークルの行列をホール内に引き込むことになった結果、他サークルの頒布に一部悪影響が生じることになったことについてはお詫びいたします。その後雨は弱まったものの、搬入時間帯には再び雨が強くなり、通常の雨シフトをさらに強化して対応にあたりました。とはいえ、幸いにも2日目は台風も通り過ぎての晴れとなりました。
 台風8号の影響で中止となった他イベントがある中、開催するコミケットにはニュースバリューがあると考えられたのかはわかりませんが、マスコミの取材が直前で急増し、同じテレビ局から何番組も取材依頼があったり、ヘリによる待機列の空撮まで行うテレビ局もありました……。「本当に開催するのか?」といった参加者等からの個別の問い合わせもありましたが、緊急時の告知や発表は公式Webサイトや公式Twitterで行いますので、同様の状況の場合にはそちらを確認していただくようお願いします。

 この他、C100で起きた事件としては、C99ではなかったスリの現行犯逮捕が今回再びありました。プロの犯行ではなかったようですが、皆さん、買い物等に集中してしまうと、身の回りへの注意が行き届かなくなりがちです。再三のお願いとなりますが、カバンを開けたままにしない、荷物から目を離さない等、基本的な対策を忘れないで下さい。

 サークル数は2日間合わせて約2万サークル。1日目は、創作系、デジタル系、音楽・芸能系、コスプレ、鉄道・旅行・メカミリや評論系、ゲーム系以外のパロディ・二次創作系という配置。引き続きVTuberが賑わいをみせました。2日目は、ゲーム系のパロディ・二次創作系といわゆる男性向が配置され、『ウマ娘』を中心としたソーシャルゲーム関連が多くの参加者を集めていました。100回記念ということもあり、それにちなんだ企画の同人誌を出されたサークルや、お久しぶりの参加サークルも少なくなく、お祭り感がいつもよりも増していたように感じられたのではないでしょうか。


 南1・2ホールに配置した企業ブースでは、ホール面積としてはC99より減少しているものの、ほぼ同じ小間数を配置した結果、コンパクトな回りやすさという利点もあって、前回よりも盛況だったように思います。その中でも、エナジードリンクの無料配布は受け取っている方がかなり多かったようです。また、エナジードリンク以外でも飲料や食べ物系のブース出展が定着してきており、今回もメロンパンラスク・お茶・蜂蜜等の販売がありました。その他、ジャンル的にはこちらもVTuber系の企業出展が続いており、根強い人気となっています。

 コスプレについては、コスプレエリアとして庭園・東7ホールの一部・東8ホール外・屋上展示場・西4ホールの5ヶ所を運用しました。特に1日目については雨天だったことにより、屋内となるホールでのコスプレエリアが盛況で、西4ホールでは西3ホール側まで撮影者がいるような状況。結果的には、屋根のあるコスプレエリアが確保できていたことは、ある意味運がよかったのかもしれません。台風一過で雨のあがった2日目は、屋外のコスプレエリアも含め賑わっていました。

 今回、大きな節目となるC100ということもあり、いくつかの記念企画を実施しました。開催100日前からのTwitterでのカウントダウンで事前からの盛り上げを図った他、100回記念のロゴを公開・皆さんに提供しました。ロゴについては、原則としてどなたでも自由に使ってもらえるようにしたこともあり、サークルの同人誌やグッズに留まらず、企業ブースのグッズや、佐川急便さんが販売した箱、ベローチェさんの看板等、幅広く使われたようです。
 当日企画としては、会場4ヶ所を巡るスタンプラリー、100回記念コスプレフォトスポットとアニバーサリーPOP、同人誌のつくり方講座のポスター展示、寄せ書きコーナーを行いました。

 スタンプラリーは、コミケット当日のワンシーンのイラストスタンプを、東3ホール(イラスト:えれっとさん)・東7ホール(イラスト:298さん)・西1ホール(イラスト:犬威赤彦さん)・南2ホール(イラスト:かんざきひろさん)の4ヶ所に設置し、4つのスタンプがすべて揃うと一連のストーリーとなるように構成しました。多くの方に参加していただき、一部設置場所ではスタンプ押し待ちの行列ができるほどの盛況でした。



 コスプレフォトスポットは、コスプレエリアに設置した撮影用の背景パネルで、C99でも出展企業の提供で設置しましたが、C100では記念デザインのパネルを大増量し、全部で10枚のパネルを東7ホールと西4ホールに置きました。いずれもかなりの人気があり、こちらも撮影待ちの行列ができました。コスプレエリアではフォトスポット以外にも、手持ちのC100来場記念アニバーサリーPOPを準備し、コスプレイヤーの皆さんに撮影時に利用してもらいました。Twitter等でその写真を上げていた方も多く、楽しんでいただけていたかと思います。

 北コンコースでは、「スマホで作れる!同人誌」というタイトルで、デジタルデバイスでの同人誌のつくり方の解説展示を行い、CLIP STUDIO PAINT(株式会社セルシス)、ibisPaint(株式会社アイビス)の紹介や、印刷会社のデジタル入稿紹介等を行いました。

 そして、「C100記念寄せ書き」は、「ビッグサイトの壁に落書きしていいよって言われたら何書く?」をテーマに、皆さんに参加いただきました。寄せ書き場所そのものは東2・東5・西1の各ホールにありましたが、いっぱいになった分については紙を差し替えて、北コンコースでの掲示も行いましたので、書いたり、見たりした方もたくさんいらしたと思います。

 それ以外にも有志の企画として、搬入を行っている印刷会社さんが、トラックに幕やステッカーを付けて会場内を運転していたり、他の同人誌即売会や企業の方々からお祝いのお花をいただいたりもしました。改めて感謝を申し上げます。


 このようにC100は閉会を迎えたのですが、平常時のコミケットと異なり、終了後に参加者の皆さんから新型コロナウイルス感染症の罹患報告をWebフォームからお願いしました。報告としては165件、その内C100当日の感染ではない可能性が高いものを除くと、97人が開催期間中に何らかの場所(その中にはコミケットも含まれると思われます)で罹患したことになります(8月24日時点)。これらについては、東京ビッグサイト及び東京都に報告を行っています。また、報告していただいた内容を分析したところ、ほとんどの方はマスクの常時着用をしており、いわゆるクラスターの発生はなかったものと判断しています。
 コミケット参加者に罹患してしまった方が出てしまっているのは事実ですが、東京都内の陽性者数が1日あたり、2万数千人だったコミケット開催時の世間の状況と比すると、コミケット参加者の罹患を低い状況で抑えることができたのは、皆さん一人ひとりが対策をしていただいた結果です。ご協力ありがとうございました。未だ新型コロナウイルス感染症の感染状況が終息していない状況ですので、引き続き感染症対策にご協力をお願いします。

 開催当日の8月13日の夜、NHKでは『ドキュメント72時間歴代ベスト10』が放送されていました。第9位には2015年夏の「夏コミ!“日本一”のコンビニで」が入っており、7年前のコミックマーケット88の多数の来場者がいる風景に、ふと懐かしさを覚えました。一方で、本来のコミケットの日常はああいう状態でもあるわけで、これに近づいてこそと、参加者の皆さんのコミケットへの思いに今一度心をうたれつつ、その日の疲れをベッドの上で癒やしながらも、思いを新たにした次第です……。

 C99のアフターレポートが、C98の中止やその後の開催見合わせ・延期等もすべて盛り込んだ、かつてないボリュームのものとなったことに対し、今回のC100のアフターレポートは、今までと似たような雰囲気になったように思います。ある意味それは「コミックマーケットのある日常」を少しずつ取り戻しつつあるということなのかもしれない、とこれを書きながら感じたりもしています。


 いずれにせよ、コミケットは「すべての表現者を受け入れ、継続することを目的とした表現の可能性を拡げる為の「場」である」ことを旨として、開催を続けていきます。この「場」を介した参加者の様々な出会いやコミュニケーション、触発があり、そこで新しい表現が生まれ、拡がっていくことを信じている、ということを改めて表明し、このアフターレポートの結びとしたいと思います。次回も会場でお会いしましょう。

 最後に。会場にも告知ポスターが貼られていましたので、お気づきかと思いますが、ライターのおーちようこさんより準備会を題材に本を作りたい、というお話があり、『コミックマーケットへようこそ−準備するから準備会−』という書籍が星海社新書より2022年12月に発売されます。共同代表以外の準備会の各部署・業務の責任者や関わる様々な企業・団体へのインタビューや、事前・当日を含めた様々な取材をまとめた本となります。このC100でも勢力的な取材が行われていました。我々もどのような本になるのか楽しみにしていますので、皆さんもよければ是非、手に取ってみて下さい。よろしくお願いします。


(2022年11月7日本文公開)


[Since: Aug.23 2022] [Updated: Nov.7 2022]