コミックマーケット65アフターレポート

会場
東京国際展示場東京ビッグサイト)全館

会期
2003年12月28日(日)〜30日(火)

サークル数
参加サークル数3万5千
申込サークル数5万2千

入場者数
28日(日)15万人
29日(月)13万人
30日(火)14万人

更衣室登録数
 男性女性
28日(日) 8605,940
29日(月) 8004,810
30日(火) 5402,830

献血数 (東京都赤十字血液センター報告書より)

コミケット公式発行物

マスコミ取材
 コミックマーケット65取材申込一覧


 12月27日、つまり設営日の早朝、東京では白いものが舞いました。 四日間共雨にたたられた'03年夏コミの嫌な記憶が思い起こされなかったといったら嘘になるでしょう。 雨の夏コミに続いて、雪の冬コミなどということになったら、'03年のコミケットは、最悪ということにもなりかねません。 しかし、幸いなことに、それは杞憂に終りました。設営日の昼頃から温度は上がり始め、雲一つない空が広がり出しました。 そうして、設営日も含めて四日間共、冬にしては暖かく、晴天という形で過ぎました。 30日の早朝、一時風が強い状態はあったものの、十時過ぎには治まり、 会場の中も比較的暖かく、外にはさわやかな光があふれていました。 天気に恵まれるということが、これほど「イベント」そのもののムードを良くするということに、 改めて気付かされたのが、今回の冬コミだったのかもしれません。 どちらかといえば、遠い春コミの日の雰囲気があったような気さえします。
 加えて、当日、大きなトラブルはほとんど起こりませんでした。 例年通り、冬は夏に比べて一般参加者、一〜二割減という来場者状況だったこともあって、 列も予定より早く会場内に入り、全体的にゆったりとした感じで三日間が過ぎたことも、トラブルがなかった要因かもしれません。 また、「鋼錬」などこの冬急に人気を集めたジャンルがありはしましたが、 全体的に混乱になるほどの集中はなかったことも幸いしたようです。
 毎回恒例の「脅迫ハガキ」が、準備会、会場、警察に加え、今回は消防署にも行ったことがあって、 当日消防署員の方たちの会場での姿が目立ちました。 しかし、急病人も少なく事件やトラブルも起きなかったため、 出番はなかったことは、コミケットがそれほど問題のないイベントであることを示せたような気もします。 62・63と続いた2ちゃんねるでの悪質な書き込みもなく、 当日騒ぎになることがなかったのも、平穏なコミケットが開催できた一つの理由でした。
 冬の厳しい日程に加え、1日目が日曜日という変則的な形の開催も、 全体の流れに影響を与えはしなかったようですし、年末の交通状況などの影響もなかったようです。 都バスの臨時直通便がなくなり、かえって、交差点の車の混雑はなくなりましたし、 DoCoMo、ボーダフォンのアンテナ車の出動によって携帯電話もそれなりに繋がるようになっています。 これが最後になる北1駐車場の参加者列も、うまく収まり、 りんかい線中心のアクセスも便利さを参加者に与えるようになってきています。 ──今回を見る限り、全体的にうまくいっているといってもいいのかもしれません。
 都の「青少年健全育成条例」の改定に反対する署名は一万を超す数が集まったようですし、 冬コミ限定の献血車も、この時期貴重な血液を集めたようです。 森林保護募金は少し関心が薄れてきているようですが、それなりの成果を収めています。 今回、報告すべきトラブルというなら、減ってしまった喫煙スペースの確保と案内が充分に出来なかったことと、 外販スペースの変更などもあって、コミケットカタログが千数百冊売れ残ったことだけかもしれません。 これは、次回に向けた検討課題として、夏コミには改善されると思います。
 しかし、北駐車場の大きな変化、りんかい線から会場への屋根付歩道の設置などなど、 会場周辺の変化を踏まえた、待機場所、駐車場、導線の変更などは、夏コミに向けて確実に考えていかなければならない事案です。 また、今回、松尾スズキの映画「恋の門」(オタクラブストーリー)の撮影が会場内で行われましたが、 こうした規制緩和的な動きもコミケットは考えていかなければなりません。 この9月イタリアで行われるベネチアのビエンナーレへのコミケットの出展など、 対外的なものの整備も一つの課題になっていくことでしょう。 何事もなく平穏無事にコミケットが開催されること。 それは、提供されていかなければならないし、同時に、ここで何が可能なのか、 コミケットの持っている可能性や意味を持っていくことも、次の課題になっていくはずです。 コミケットは「限界」を設定してはならないし、理想を形として設定してもならないと思います。 思いもよらぬ、想像を超えた次の地平に行けるかどうか、 それもまた、サークル、参加者によって形が変わっていくものなのかもしれません。
(文責:米沢嘉博)

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