コミックマーケット91アフターレポート


会場
東京国際展示場東京ビッグサイト
東1〜3ホール+東4〜6ホール+東7ホール+西1ホール

会期
2016年12月29日(木)〜31日(土)

サークル数
参加サークル数 3万6千
申込サークル数 4万5千


入場者数
29日(木) 17万人
30日(金) 17万人
31日(土) 21万人


更衣室登録数
 男性女性
29日(木)3,012人7,573人
30日(金)3,033人7,430人
31日(土)2,495人4,374人


献血数(防災公園を含む)
29日(木) 697人
30日(金) 620人
31日(土) 372人


コミケット公式発行物
コミックマーケット91カタログ(表紙、主犯)
コミケットプレス45(表紙、しいたけ)
紙袋(大)もりのほん・(小)くるみあべし


出展企業数
181社


マスコミ取材
 コミックマーケット91取材申込一覧

(2017年1月11日データ部分公開)


 設営日前日に降った雨もおさまり、コミケ晴れに恵まれた冬コミ。猛暑による熱中症のおそれのある夏よりも冬の方が、そもそも具合を悪くする人は少ないのですが、穏やかな天候ということもあって、救護室の利用者も少なめでした。

 昨秋に新しい東7・8ホールが誕生した東京ビッグサイト。しかも、新しい南展示棟建設工事の合間に、最後となる屋外展示場の利用ができたこともあり、この冬は、過去最大規模でのコミケットとなりました。東1〜7と西1ホールに三日間のべ約36,000サークル、西2〜4ホールに企業ブース、会議棟6階の男子更衣室、レセプションホールの女子更衣室に加え、東8ホールにも男女更衣室を置き、1日目17万人、2日目17万人、3日目21万人ののべ55万人もの参加者がこの「場」に集うことになりました。
 新しい東7・8ホールですが、仮設という建前があり、さらに敷地に対して最大限の展示面積を確保しようと建物を建てたこともあり、長方形ではない不思議な形をしている他、既設ホールにはない制約がいくつかあります。壁や柱にポスターが貼れないことの対策として、赤ブーブー通信社さんのご協力をいただき、ポスタースタンドのレンタルサービスを東7ホール配置のサークル向けに行いました。シャッター前が荷置禁止エリアとなり、搬入が多く行列の長いサークルをそこに配置できない問題は、非常口横に従来のシャッター前のスペースとほぼ同等のスペースを設けましたが、冬のやり方では列の管理が難しかったこともあり、この夏に向けて改善の予定です。非常口に高い段差がある点は、先のポスタースタンドなども活用し、注意POP等を掲示しましたが、抜本 的な解決にはまだいたっていません。

 そして、もっとも問題となったのは、3日目の東7ホールへの入退場の導線でした。東7ホールへも他のホールと同様に参加者が足を運ぶように、混雑するサークルを多めに配置したのですが、逆に混雑が集中してしまい、混雑列が入退場の導線にバッティングし、東6ホールとの行き来が大きく混乱する結果になってしまいました。お詫びいたします。次回は、東8ホールにもサークルを配置することもあり、入退場の導線を再検討する他、行列ができるサークルの配置も見直すなどの対策を進めています。
 また、東7・8ホールに関連した変更点として、(晴天時の)クロネコヤマトの宅配便受付を東8ホールの外に設置しました。そのため受付の場所は広くなりましたが、場所が遠くなったと、東4ホール等のサークルからはご批判もいただいています。新しい場所にうまく案内できなかった準備会スタッフも少なからずいたようで、ご迷惑をおかけしました。混雑の対応や人の流れを優先した結果が現状の宅配便の場所なのですが、東1や東4ホール等のサークルのクロネコヤマトを使っての発送は、タイミングによっては、東8外よりも西地区の方が好アクセスな場合もあります。こうしたご案内も、臨機応変に情報提供できるように努めていきたいと考えています。
 東7・8ホール以外では、西地区で西1ホールだけがサークル配置となり、そこに配置されたサークルに遠く離れてしまった感じを抱かせてしまったり、西1階〜4階間の参加者の誘導がうまくいかない場合があったりと、今回も会場利用の変更に伴って様々な問題が起こったことは準備会も認識しています。このところ、毎回のように使い方が変わるため、これに安全を最優先とした対応を行うと、それ以外の面への注力が不足しがちなのも正直なところです。毎回新しくなって良くなった点は伸ばしつつ、悪かった点は改善をしていますが、東京オリンピックを控え、会場の利用方法はますます難しくなっていくことは避けられません。状況が好転する2021年まで、暖かい眼差しでお付き合いいただけると幸いです。

 東京オリンピックといえば、今回も警察からの強い要請を受け、一般参加者の手荷物確認を中心とした警備強化を行いました。皆さんのご協力に感謝します。加えて警察の方から現状強く指摘をいただいているのは、「スリ・置き引き」対策です。実際に発生件数も少なくなく、当日の場内アナウンスや啓蒙POPを増やし、スタッフの巡回も強化しました。東京ビッグサイトなど人が集まる場所には、専門のスリ・置き引きが入り込んでいます。一方で夏・冬の厳しい環境で疲労してしまったり、友人との会話に夢中になってしまったりと、参加者の皆さんの注意も疎かになりがちです。残念ながら準備会が事前にできるのは注意喚起や巡回で、皆さんひとりひとりに身を守っていただかなければ、犯罪を防ぐことはできません。後ろポケットに長財布を入れている、荷物を後ろに置いている、カバンの口が開いている、うたた寝してしまった……など、まずは隙をつくらず自衛をお願いします。
 その上、今回不審だったのは、準備会や会場側に許可無く、無断で会場内にて募金を行う謎の団体の存在です。当日は、準備会スタッフがお話をさせていただき、会場外に出ていっていただきましたが、この団体はビッグサイトや幕張メッセで大きなイベントがあると現れるようです。次回以降も不審な募金を見かけましたら、最寄りの準備会スタッフまでお声がけ下さると幸いです。
 また、救護室の利用者が少なかったとはいえ、インフルエンザやノロウィルスが疑われる方もそれなりにいて、すぐの帰宅を促しました。体調の悪い方はコミケットへの参加を控えていただきたいところです。年に2回の「ハレの日」を楽しみにしているのは、皆同じですが、そこはぐっと堪えていただきたいと思います。

 さて、近年のコスプレイヤーの増加に伴い、準備会はコスプレエリアの拡大やコスプレ先行入場の実施などで負荷分散対策を講じてきましたが、ピーク時の更衣室の混雑は激しく、着替えのための長い待ち行列が生じていました。そこでこの冬は、新しく東8ホールに男女更衣室(及びクローク)を増設することで、従来よりもスムーズな更衣室利用が可能となり、この場所からの距離が近いこともあって、東地区のトラックヤードのコスプレエリアには、これまで以上に多くのコスプレイヤーが集まりました。同じ東8ホールには、恒例となりつつある鈴木心写真館が、初日・二日目と置かれ、こちらも多くのコスプレイヤーを含む参加者の皆さんが、プロのカメラマンに写真を撮ってもらうのを楽しんだようです。
 この冬は初日・二日目(三日目は大晦日で公園自体がお休み)に献血応援イベントが防災公園で行われ、夏の防災フェアに引き続き、この献血応援イベントにもビッグサイトから防災公園へのコスプレをしたままでの行き来が可能となりました。防災公園でコスプレとその撮影ができるのは2回目ということもあって認知度もあがり、二日間でのべ1万人弱が訪園、ビッグサイトとは違った景色を楽しんでいました。恒例の献血ポスターには、秋田書店、ViVid Strike!、Koi・芳文社/ご注文は製作委員会ですか??、スクウェア・エニックス、トリニティカップ実行委員会、PBM、松戸コンテンツ事業者連絡協議会の皆さんのご協力をいただきました。厚くお礼申し上げます。

 企業ブースは、西2〜4ホールという立体的な配置をはじめて行いました。加えて屋外展示場を行列ができる企業の待機列に充てることができたため、近年の中では余裕はあった方なのですが、それでもいくつかのトラブルが発生しました。とはいえ、企業ブースの待機列に関わる問題は、サークルの行列におけるトラブル以上に、SNSで大げさに取り上げられたり、一方的な視点で語られたりすることが多いのも偽らざるところです。実態との乖離が生じることもしばしばあり、準備会スタッフが後に困惑することも少なくありません……。
 その中で、新しく企業ブースに参加した企業・団体ですが、RAIZINというエナジードリンクの無料サンプリングで出展した大正製薬、地方の観光協会などのアイテムなどを集めて販売するアニメ・マンガ地域サミットが挙げられます。後者は2015年春に開催したコミケットスペシャル6のイベント内イベントOTAKU SUMMITの企画を引き継いだものです。また、今回もレッドブル・ジャパンさんより設営協力参加者の皆さんにレッドブルの提供をいただきました。こちらもお礼申し上げます。

 最後にサークルに関連した話題です。まず、このコミックマーケット91から、ジャンルとジャンルコードの大幅見直しを行いました。継ぎ足しで見通しが悪くなっていたり、わかりにくくなったりしていたものを整理し、まとめるものはまとめ、分けるものは分け、だいぶすっきりとしたはずです。
 各日のジャンルは、初日は、ゲーム系、同人ソフト、芸能系、コスプレ。2日目は、マンガ系、アニメ系、ジャンプ系、創作(少女・JUNE/BL)を中心としたジャンル。3日目は、男性向、ギャルゲー系、創作(少年・文芸)、評論・情報、デジタル(その他)といった構成。秋のアニメ新番組に関するサークル申込が間に合わない冬コミですが、今回は『ユーリ!!! on ICE』が人気となり、女性系ジャンルのあちこちで新刊が出て、予想外の場所での混雑の対応に追われることになりました。

 同人誌の表現に関連しては、この冬は今までよりもやや厳しい目線で頒布物確認を行ったことで、頒布停止の上、性器表現の修正をお願いするサークルが多く出てしまいました。これは、昨年来、商業誌での性器の修正が今までよりも一段厳しくなっていることを受けての変更によるものです。コミケットアピールにも必ず記載し、折を見て繰り返しアナウンスしている通り、コミケットにおける修正の目安は「商業誌レベル」ですので、商業誌の傾向が厳しくなれば、これにしたがってコミケットでの修正も当然に厳しくなります。「今までと同じ」というのは、たまたまその間、商業誌の状況に変化がなかったことに過ぎません。目安は一定ではなく毎回変化していくもの、と改めてご理解下さい。
 このような変化を伴う時には、必ず「準備会が明確な基準を提示してほしい」という声をいただくのですが、「わいせつ」に関わる修正は、物語や絵柄、表現の文脈等によってもその妥当性は変化します。ましてや、状況は常に流動的であり、基準それ自体も社会通念によって変わるものです。つまりは普遍的ではないのです。ある時点で「問題なし」と考えられていたものが、当日も適切かどうかはわからず、最終的な判断は結局開催時にしか決められません。もし、変更を嫌うならば、リスクを回避するためにより大きな修正をお願いすることにならざるを得ませんし、一度目安を提示したとすれば、それは一人歩きして表現を必ずや制約することになります……。こうしたことは、サークルの皆さんの希望とも、なるべくサークルの皆さんに自由に表現してもらいたいという準備会の想いとも反することになってしまいます。サークルの皆さんが不安を抱かれているのはわかりますが、ネット等でありがちな「これが今の基準です」といった主張には安易に耳を貸さず、自分の表現が世の中でどのくらいのものなのかについて、即売会や印刷会社に任せるのではなく、自分の目で商業誌から学んで理解し、自らの自由意思と責任に基づいて表現してください。それが同人誌の厳しいところでもあり、一方で面白いところですらあると思うのです。

(2017年6月19日本文公開)

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[Since: Jan 11 2017] [Last updated: Jun 19 2017]